不動産競売・債権届出・配当要求

1 不動産競売事件において、買受人の代金納付等により配当財団が形成され、配当が実施されるときの債権者の資格としては下記のものが挙げられます(民事執行法第87条、担保不動産競売について準用)。

第二章 強制執行

 第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

 第一款 不動産に対する強制執行

 第二目 強制競売

第三章 担保権の実行としての競売等

(不動産執行の規定の準用)

第188条  第44条の規定は不動産担保権の実行について、前章第二節第一款第二目(第81条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第三目の規定は担保不動産収益執行について準用する。

 ①差押債権者

 ②配当要求債権者

 ③交付要求債権者

 ④仮差押債権者

 ⑤担保権者

※民事執行法には次のとおり規定されています。そして、不動産に対する強制執行の規定は担保権の実行としての競売について、準用されています。

(配当等を受けるべき債権者の範囲)

第87条  売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。

一  差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)

二  配当要求の終期までに配当要求をした債権者

三  差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者

四  差押えの登記前に登記(民事保全法第53条第2項 に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)

2 前項第四号に掲げる債権者の権利が仮差押えの登記後に登記されたものである場合には、その債権者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押えがその効力を失つたときに限り、配当等を受けることができる。

3  差押えに係る強制競売の手続が停止され、第47条第6項の規定による手続を続行する旨の裁判がある場合において、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等において敗訴したときは、差押えの登記後続行の裁判に係る差押えの登記前に登記された第1項第四号に規定する権利を有する債権者は、配当等を受けることができる。

 

(開始決定及び配当要求の終期の公告等)

第49条  強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、裁判所書記官は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。

2  裁判所書記官は、配当要求の終期を定めたときは、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。

一  第87条第1項第3号に掲げる債権者

二  第87条第1項第4号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)

三  租税その他の公課を所管する官庁又は公署

3  裁判所書記官は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。

4  裁判所書記官は、前項の規定により配当要求の終期を延期したときは、延期後の終期を公告しなければならない。

5  第1項又は第3項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

6  第10条第6項前段及び第9項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。

 

(催告を受けた者の債権の届出義務)

第50条  前条第2項の規定による催告を受けた同項第一号又は第二号に掲げる者は、配当要求の終期までに、その催告に係る事項について届出をしなければならない。

2  前項の届出をした者は、その届出に係る債権の元本の額に変更があつたときは、その旨の届出をしなければならない。

3  前2項の規定により届出をすべき者は、故意又は過失により、その届出をしなかつたとき、又は不実の届出をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

 

2 配当要求について

  配当要求とは、債権者が、配当等を受けるべき債権者の地位を取得するために、既に開始されている他の債権者が申し立てた競売手続に参加して自己の債権の満 足を受けようとする手続です。しかし、誰でもこの手続に参加することができるわけではなく、配当要求をすることができる債権者は限定されています。 配当要求は、他の債権者が申し立てた競売手続に参加し、その手続上で配当等を受ける地位を取得するにすぎないため、当該手続が取下げ又は取消しにより 終了した場合は配当要求も効力を失います。

3 配当要求をすることができる債権者

(1)執行力のある債務名義の正本を有する債権者

(2)差押えの登記後に登記をした仮差押債権者

(3)一般の先取特権を有することを証明した債権者

 

(配当要求)

第51条  第25条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び第181条第1項各号に掲げる文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。

2  配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。(続き⇒