相続等の登記を、横浜市戸塚区で1日150件、泉区で1日50件、栄区で1日150件の申請を処理していた実務経験者


裁判手続・支払督促・仮処分・仮差押え


 

所有権取得時効)「民法第162条 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の占有した者は、その所有権を取得する。

 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」 

 (訴訟物)   「所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権」

 (請求の趣旨) 「被告は原告に対し、昭和○○年○○月○○日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ」            

  ※登記原因の日付は、時効完成の日ではなく、時効起算日となります。                            

(請求原因=要件事実)(長期取得時効20年)
① ある時点で本件土地を占有していたこと            
② ①の時から20年経過した時点で本件土地を占有していたこと
③ 援用権者が相手方に対し、時効援用の意思表示をしたこと
④ 原告の所有権に対する妨害としての被告名義の所有権移転登記の存在           

(請求原因の記載)                                                                   
1 原告は、昭和45年4月15日別紙物件目録記載の土地を占有していた。
2 原告は、平成2年4月15日経過時、本件土地を占有してた。
3 原告は、被告に対し、平成23年4月○○日、時効を援用するとの意思表示をした。
4 本件土地について、別紙登記目録記載の所有権移転登記がある。
5 よって、原告は、被告に対し、所有権に基づき、本件土地につき、昭和45年4月15日時効取得を原因とする所有権移転登記手続することを求める。

 <登記目録>                                                 

  横浜地方法務局○○出張所昭和○○年○○月○○日受付第○○号所有権移転                             原因    昭和60年1月1日相続                                         

  所有者  被告の住所氏名                                                                                                                                       

(請求原因=要件事実)(短期取得時効10年)
① ある時点で本件土地を占有していたこと
② ①の時から10年経過した時点で本件土地を占有していたこと
③ 占有開始時に善意であることについて無過失であること(無過失の評価根拠事実)
④ 援用権者が相手方に対し、時効援用の意思表示をしたこと
⑤ 原告の所有権に対する妨害としての被告名義の所有権移転登記の存在                                  

(抗弁)                                                        

① 原告に「所有の意思がないこと」                                       

② 「原告が占有開始時に本件土地の所有権が自己に属すると信じていなかったこと」(悪意)、無過失(=所有権が自己に属すると信ずるに値するだけの原因事実)の評価障害事実 などを主張証明します。                                               

 ※所有の意思がなかったことは、評価根拠事実(他主占有権原または他主占有事情)により外形的客観的に定められますから、取得時効を否定する当事者が主張立証することとなります(本事案では、被告)。

① 原告がその性質上所有の意思のものないとされる権原に基づいて占有を取得し事実 ⇒ 原告の占有が売買ではなく、賃貸借契約に基づくものである場合には、賃借権に基づく占有に所有の意思はないから、被告は、「① Aと原告とが賃貸借契約を締結したこと、② 原告の占有が同賃貸借に基づくものであること」を抗弁として主張証明することとなります。

② 占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば、当然とるべき行動に出なかったことなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される具体的事実を抗弁として主張証明することとなります。
                                             

所有の意思がないことの評価根拠事実(他主占有権原または他主占有事情)を取得時効を否定する当事者が主張立証するのです。

他主占有権原と他主占有事情の区別は、1つの事実で決まるか否かとされています。例えば、他主占有権原の例としては賃貸借契約がありますが、他主占有事情は、公租公課を支払っていないなど多種多様です。

 

Q 神奈川県には、二線引き畦畔や青地がたくさんあると聞きましたが、この管轄はどこに行けばよろしいのでしょうか。

 

A 国有財産を扱っている財務事務所(横浜)が管轄になります。

 

Q 私は、平成13年10月1日に、先祖代々所有していた甲土地をYに代金2000万円で売り、売買契約を締結し、その日に甲土地を引き渡しましたが、Yは、いまだに代金を支払ってくれません。平成23年8月15日に、内容証明郵便でYに、催告しましたが、Yは、支払わなかったので、平成23年10月10日に再度、口頭で請求をしましたが、Yは代金2000万円の支払債務は、既に時効にかかって消滅しているといいます。本当にこんなことがあるのでしょうか。

 

A 売買代金支払請求(消滅時効の抗弁)の訴訟提起                  

(売買)「第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」                                     

 売買契約の成立によって、相手方が「代金」を支払うという代金支払請求権が直ちに発生します。この売買契約締結とは、売主が、買主に財産権を移転する代わりに、買主は売主にその対価として一定額の金員を支払うという双方の意思表示の合致です。

 相手方が代金を支払わない場合、つまり、無償で財産権を移転する場合は、贈与契約になります。

 (訴訟物)    「売買契約に基づく代金支払請求権」 

 (請求の趣旨) 「被告は、原告に対し、2000万円を支払え」

(請求原因=要件事実)                                        

① 原告は、被告に対し、平成13年10月1日、甲土地を代金2000万円で売った。

(消滅時効の抗弁の要件事実)
① 平成23年10月1日は経過した(民法167条1項)。
② 被告は、原告に対し、平成23年11月15日の本件口頭弁論期日において、上記時効を援用するとの意思表示をした(民法145条)。

(時効の中断事由の再抗弁)                                    

① 原告は、被告に対し、平成23年8月15日、本件売買代金債務の履行を催告した。         

② 原告は、被告に対し、平成23年10月15日、本件訴えを提起した。