平成27年5月1日施行改正会社法

会社法の一部を改正する法律案 (第186回国会において修正議決を経て成立)

(※平成26年4月25日衆議院において修正議決)

国会提出日 平成25年11月29日

可決成立日 平成26年6月20日

公布日   平成26年6月27日(法律第90号)

官報掲載日 平成26年6月27日(号外第144号)

施行日   平成27年5月1日

 

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

(第186回国会において修正議決を経て成立)

(※平成26年4月25日衆議院において修正議決)

国会提出日 平成25年11月29日

可決成立日 平成26年6月20日

公布日   平成26年6月27日(法律第91号)

官報掲載日 平成26年6月27日(号外第144号)

施行日   一部の規定を除き、平成27年5月1日

(法務省HPより)

 

(法律案提出理由) 株式会社をめぐる最近の社会経済情勢に鑑み、社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等の強化並びに株式会社及びその属する企業集団の運営の一層の適正化等を図るため、監査等委員会設置会社制度を創設するとともに、社外取締役等の要件等を改めるほか、株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設、株主による組織再編等の差止請求制度の拡充等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

会社法の一部を改正する法律案要綱

第1 子会社等及び親会社等の定義の創設

一 「子会社等」とは、次のいずれかに該当する者をいうものとすること。(第2条第3号の2関係)

 1  子会社

 2  会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの

二 「親会社等」とは、次のいずれかに該当する者をいうものとすること。(第2条第4号の2関係)

 1  親会社

 2  株式会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの

第2 監査等委員会設置会社制度

一 定義 「監査等委員会設置会社」とは、監査等委員会を置く株式会社をいうものとすること。(第2条第11号の2関係)

二 監査等委員会の設置

 1 株式会社は、定款の定めによって、監査等委員会を置くことができるものとすること。(第326条第2項関係)

 2 監査等委員会設置会社は、取締役会及び会計監査人置かなければならないものとすること。(第327条第1項第3号及び第5項関係)

 3  監査等委員会設置会社は、監査役を置いてはならないものとすること。(第327条第4項関係)

 4  指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置いてはならないものとすること。(第327条第6項関係)

三 監査等委員である取締役の選任及び解任並びにその報酬等の決定の手続等

 1  監査等委員会設置会社においては、取締役の選任は、監査等委員(監査等委員会の委員をいう。以 下同じ)である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならないものとすること。(第329条第2項関係)

 2  監査等委員である取締役は、監査等委員会設置会社若しくはその子会社の業務執行取締役 若しくは 支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役兼ねることができないものとする こと。 (第331条第3項関係)

 3  監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならないものとすること。(第331条第6項関係)

 4  監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期は、後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすること。(第332条第3項関係)  

 5  監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすること。(第332条第4項関係)

 6  取締役は、監査等委員会がある場合において、監査等委員である取締役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査等委員会の同意を得なければならないものとすること。(第344条 の2第1項関係)  

 7  監査等委員会は、取締役に対し、監査等委員である取締役の選任を株主総会の目的とすること等を請求することができるものとすること。(第344条の2第2項関係)

 8  監査等委員である取締役を解任する株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以 上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる 多数をもって行わなければならないものとすること。(第309条第2項第7号及び第344条の2第3項関係)

 9  監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができるものとすること。(第342条の2第1項関係)

 10 監査等委員である取締役を辞任した者は、辞任後最初に招集される株主総会に出席して、辞任した旨及びその理由を述べることができるものとすること。(第342条の2第2項関係)

 11 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができるものとすること。( 第342条の2第4項関係)

 12  監査等委員会設置会社においては、第361条第1項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならないものとすること。(第361条第2項関係)

 13 監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等 は、第361条第1項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定めるものとすること。(第361条第3項関係)

 14  監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができるものとすること。(第361条第5項関係)

 15  監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができるものとすること。(第 361条第6項関係)

四 監査等委員会の権限等

  1  監査等委員会は、全ての監査等委員で組織するものとすること。(第399条の2第1項関係 )

  2  監査等委員は、取締役でなければならないものとすること。(第399条の2第2項関係)

  3  監査等委員会は、次に掲げる職務を行うものとすること。(第399条の2第3項関係)

  (1) 取締役の職務の執行の監査及び監査報告の作成

  (2) 株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任等に関する議案の内容の決定

  (3) 監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任若しくは辞任又は報酬等についての監査等委員会の意見の決定

  4  監査等委員会が選定する監査等委員による調査、監査等委員の取締役会への報告義務、監査等委員の株主総会に対する報告義務、監査等委員による取締役の行為の差止め、監査等委員会設置会社と取 締役との間の 訴えにおける会社の代表等の監査等委員会の権限等について、第384条及び第405条から第408条までに相当する規定を置くものとすること。(第399条の3から第399条の7まで関係)

五 監査等委員会の運営

     招集権者、招集手続等、監査等委員会の決議、議事録、監査等委員会への報告の省略等の監査等委員会

 の運営につき、第410条から第414条までに相当する規定を置くものとすること。(第399条の8

 から第399条の12条まで関係)

六 監査等委員会設置会社の取締役会の権限等

  1  監査等委員会設置会社の取締役会は、第362条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う ものとすること。(第399条の13第1項関係)

  (1) 次に掲げる事項その他監査等委員会設置会社の業務執行の決定

    ア 経営の基本方針

    イ 監査等委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項

    ウ 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なも のとして法務省令で定める体制の整備

  (2) 取締役の職務の執行の監督

  (3)   代表取締役の選定及び解職

  2  監査等委員会設置会社の取締役会は、1(1)アからウまでに掲げる事項を決定しなければならないものとすること 。(第399条 の13第2 項関係 )

  3   監査等委員会設置会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から代表取締役を 選定しなければならないものとすること。(第399条の13第3項関係)

    4   監査等委員会設置会社の取締役会は、第362条第4項各号に掲げる事項に相当する事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができないものとすること。(第399条の13第4項関係)

  5   監査等委員会設置会社の取締役の過半数が社外取締役である場合には、当該監査等委員会設置会社の取締 役会は、その決議によって、第416条第4項各号に掲げる事項に相当する事項を除き、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができるものとすること。(第399条の13第5 項関係)

    6 監査等委員会設置会社は、取締役会の決議によって重要な業務執行(第416条第4項各号に掲げる事項に相当する事項を除く。)の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定款で定めることができるものとすること。(第399条の13第6項関係)

    7 招集権者の定めがある場合であっても、監査等委員会が選定する監査等委員は、取締役会を招集することができるものとすること。(第399条の14関係)

七 取締役の任務懈怠の推定規定の適用除外

      第423条第3項の規定は、第356条第1項第2号又は第3号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しないものとすること。(第423条第4項関係)

八 その他の規定の整備

 1  設立しようとする株式会社監査等委員会設置会社である場合におけるその設立手続並びに監査等委員会設置会社に係る登記及び罰則その他所要の規定を整備するものとすること。(第38条第2項、第911条第3項第22号、第976条第19号の2等関係)

 2  監査等委員会設置会社制度の創設に伴い、第2条第12号に規定する「委員会設置会社」の呼称を「指名委員会等設置会社」とするものとし、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の総称を「指名委員会等」とするものとするなどの所要の整備をするものとすること。(第2条第12号等関係)