配当期日

 仮に、仮差押債権者に配当があった場合(1)執行力ある債務名義の正本を有する債権者ではないため、執行裁判所はどうするのかを調べた。(2)仮差押の執行をした債権者が「配当を受けるべき債権者」とされるのはなぜか?民事執行法第91条では、債権が仮差押債権者のものであるときは供託しなければならないとしている。 そこで、要するに本案訴訟を提起して、判決(またはこれと同じ効果を有する書面)に執行文の付与を受けて裁判所に証明すれば配当をしてくれることになるのである。

 本件の場合、本案訴訟を提起して、勝訴判決を得ても、債権の満足が受けられないと判断できたため、仮差押債権者として配当期日を待った。案の定、配当の恩恵にあずかることができなかった。

 そこで、これからが大変になるのである。相談者に当初、本案を提起しないで仮差押命令を申し立てると、担保取消しが難しくなるということを説明しても、お金を返してくれないから、とりあえず、マンションの仮差押えをするんです、という・・・

 

(配当等の額の供託)

第91条  配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。

一  停止条件付又は不確定期限付であるとき。

二  仮差押債権者の債権であるとき。

三  第39条第1項第七号又は第183条第1項第六号に掲げる文書が提出されているとき。

四  その債権に係る先取特権、質権又は抵当権(以下この項において「先取特権等」という。)の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。

五  その債権に係る先取特権等につき仮登記又は民事保全法第53条第2項 に規定する仮処分による仮登記がされたものであるとき。

六  仮差押え又は執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき。 七  配当異議の訴えが提起されたとき。

2  裁判所書記官は、配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかつた債権者(知れていない抵当証券の所持人を含む。)に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。

 

(権利確定等に伴う配当等の実施)

第92条  前条第1項の規定による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施しなければならない。

2  前項の規定により配当を実施すべき場合において、前条第1項第一号から第五号までに掲げる事由による供託に係る債権者若しくは同項第六号に掲げる事由による供託に係る仮差押債権者若しくは執行を停止された差押債権者に対して配当を実施することができなくなつたとき、又は同項第七号に掲げる事由による供託に係る債権者が債務者の提起した配当異議の訴えにおいて敗訴したときは、執行裁判所は、配当異議の申出をしなかつた債権者のためにも配当表を変更しなければならない。

 

 仮差押命令をかけてから1年6か月余り、取下げ、担保取消決定、公示送達申立て等を経て、供託原因消滅証明書を手にすることができ、無事、取戻しによる供託金払渡請求ができたのです。

 その顛末は又、お知らせすることができるでしょう。

 

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