本人確認とゲートキーパ法

各種登記手続きに際して、私たち司法書士は、登記申請をする方々とお会いし、その登記申請の方々と

お会いし、その登記申請の意思確認を行わなければならい義務があります。

平成15 年に金融機関等本人確認法(金融機関等による顧客の本人確認義務等の法定化)が施行され

ていましたが、平成19年4月1日「犯罪による収益の移転防止に関する法律(ゲートキーパー法)」により、

その対象者が拡大され、司法書士や行政書士、弁護士等の特定事業者を対象に、本人確認(記録の

作成)および取引記録の作成が義務づけられました。同法に違反した場合、特定事業者には懲役等の罰

則が課せられます。更に、再度平成25年4月1日に改正されています。

この法律の目的は、犯罪による収益の移転防止が極めて重要であることにかんがみ、特定事業者による

顧客等の本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、犯罪による収

益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確

保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とし

ています。

いわゆるマネー・ローンダリング/テロ資金供与防止のねらいは、資金面から犯罪組織、犯罪行為の撲滅

を目指すことにあります。

そこで、司法書士の業務の中での具体的な義務は、

(1)司法書士の義務として、 ゲートキーパー法では、

①宅地・建物の売買に関する手続、

②会社法人の設立、定款変更、代表者等の変更、合併などの組織再編行為に関する手続、

③財産管理行為(成年後見業務は除く。)

が特定業務とされています。  

 

 司法書士が、それらの特定業務にかかる取引(登記や簡裁訴訟代理等の受託)を行う際、顧客について、

本人であることを確認したうえで、本人確認記録と取引記録を作成し、7年間(会則等では10年間)保存し

なければなりません。
  「顧客」とは、特定業務において行う取引の相手方のことをいい、例えば、不動産売買の登記であれば売主

および買主、株式会社の代表取締役変更の登記であれば当該株式会社が「顧客」となります。  

また、現に取引を行う際の担当者が顧客と異なる場合はその担当者(「代表者等」といいます。)も確認の対

象となっております。

 例えば、不動産売買の登記において取引現場に買主に代わって代理人が参加した場合は当該代理人、株

式会社の代表取締役変更の登記であれば実際に司法書士に業務の依頼を行った代表取締役、担当者ある

いは税理士等他士業の方が「代表者等」となります。
  さらに、司法書士会の会則等では、特定業務以外の業務についても司法書士の本人確認義務が定

められています。

 

では、どのような本人の確認方法をするのかと言いますと、
(2)本人確認について

 本人特定事項の確認を行う際に必要となる公的証明書(本人確認書類)については、個人、法人等
それぞれの場合に分けて定められています。その主な例は、以下のとおりです。
なお、有効期限のある公的証明書については、事業者が提示又は送付を受ける日において有効なも
のである必要があります。

また、有効期限のない公的証明書については、原則として、事業者が提示又は送付を受ける日の前6か月

以内に作成されたものに限られます。

 (ア)  個人の場合

    ① 運転免許証、②運転経歴証明書、③各種健康保険証、④国民年金手帳、⑤母子健康手帳、⑤在

    留カード、⑥特別永住者証明書、⑦住民基本台帳カード(氏名、住居、生年月日の記載があるもの)
    ⑧旅券(パスポート)、⑨取引を行う事業者との取引に使用している印鑑に係る印鑑登録証明書 等
    ⑩①~⑨のほか、官公庁発行書類等で氏名、住居、生年月日の記載があり、顔写真が貼付されて

    いるもの
    ⑪①~⑩以外の印鑑登録証明書、戸籍謄本・抄本、住民票の写し・住民票記載事項証明書
    ⑫⑪のほか、官公庁発行書類等で氏名、住居、生年月日の記載があり、顔写真のないもの

(イ)  法人取引、代理人取引の場合
    特定取引等の任に当たっている自然人が顧客と異なる場合(例えば、法人顧客の場合や、個人顧
   客の代理人が取引の任に当たっている場合)には、顧客の本人特定事項の確認に加え、取引の任に
   当たっている自然人(代表者等)の本人特定事項の確認を行う必要があります。