A 養子縁組は、基本的には養親が年長であれば、市区町村に届出をすれば実子と同じように相続人になり得ます。
ただし、戸籍の届出と相続税の考え方と違いますから、相続税対策として養子縁組をなさる場合は、気をつけて
ください。
戸籍は人の身分関係(出生・婚姻・養子縁組・氏名変更・死亡等)が記載される公的な書類ですが、住所は、住所
の移転等が記載される公的書類です。住所には、本籍地が記載されない住民票が発行されますので、相続関係に
は、必ず本籍地記載の住民票を取得しましょう。
A 改製原戸籍とは、原戸籍(はらこせき)とも言い、戸籍の改製によって、従前の戸籍が削除され新たな戸籍が編
製された場合のその除かれた従前の戸籍をいいます。除籍は、①一戸籍内の各員が順次削除されて、その全員が除
かれた場合 ②管外への転籍の場合 ③旧法においては、家督相続があったときにも従前の戸籍は除籍となりまし
た。
A 住民票は、住民基本台帳法に基づいて、個人を単位とする世帯ごとに編製されます。戸籍の附票は、「市区町村
長は、その市区町村の区域内に本籍を有する者につき、その戸籍を単位として、戸籍の附票を作成しなければなら
ない。」という定めによって、職権で記載されるものです。したがって、戸籍の附票は本籍地でしか取得できませ
ん。
A 特に、相続人を特定する場合に、除籍、改製原戸籍とかの場合、現行戸籍と違って、事項欄と身分事項欄が一緒
の箇所に記載されており、認知事項、養子縁組事項を見落としがちであります。親、養親の事項欄には、認知した当
時の除籍簿、改製原戸籍にのみ、縁組事項が記載される仕組みになっておりますから、転籍、新しい戸籍を作ったと
きなどには、移記されませんので、注意が必要となります。
A 婚姻届を提出していない(民法第890条の配偶者でない=法律上の配偶者でない)内縁の妻は、遺言書が作成さ
れていない限り、残念ながら、相続権はありません。
A あなたには相続権がないので、夫名義の遺産を全て取得できるということにはなりませんが、夫名義のA銀行の
預金が、あなたとあなたの夫とが共同で事業を営んで得た財産ということであれば、あなたとあなたの夫の共有財
産ということになる可能性があります。その証明により、民法第250条の規定により2分の1の共有持分権が認
められる可能性があります。夫の兄弟と話し合いが可能な場合には、話し合いをして、具体的な分割案の調整手続
きをする必要があります。
A まず、平成20年父甲死亡時に行われた有効な遺産分割協議書(例えば、相続の申告をしたが、相続登記はしなかった場合、その遺産分割協議書のコピーの場合)であっても、登記に使用できないケースも考えられます。
しかしながら、そのコピーが残っている場合、相続の確定申告をしていることが考えられることから、その分割協議の結果をないがしろにすることはできません。
登記では使用できない遺産分割協議書をどのような法的効果を持たせて、登記申請ができるかですが、平成20年の遺産分割協議書を追認する形で現在の相続人が証明する方法もあります。
そこで、登記手続き上、有効になった平成20年の遺産分割協議書と今般の平成26年の協議書で1件の登記申請(数次相続)をすれば、登記免許税が軽減されることは自明の理です。
ただ、注意を要する落とし穴がある場合があります。それは、妻乙が相続すれば、相続税が発生しなかったと考えられるところ、父甲の相続登記を今般の平成26年の遺産分割協議書と抱き合わせで最終相続人Aとして、1件の登記申請をした場合、税務署が相続税をどのように掛けてくるか、税理士に相談された方がよいと思われます。
登録免許税を節約したところ、相続税の方が高くなってしまったのでは本末転倒です。亡乙名義に一度相続登記を入れて、相続税を回避するという手法を取る場合があります。
それでも、1件の登記申請で課税されないようであれば、遺産分割協議書は、平成20年の内容を現在の相続人で証明し、今般の平成26年の遺産分割協議(協議者は同一人)を双方添付して、数次相続の形を取る方法が考えられます。
相続登記は、ベテランの当事務所にお越しいただきますと、懇切丁寧にご説明申し上げます。
A 連帯保証人Bへの家賃の請求につき、賃貸契約での連帯保証人とは、部屋を借りている人がお金を払わない時に、その請求を連帯保証人にすることが出来る仕組みです。
よって、甲が賃料を支払うことができない場合は、連帯保証人Bに請求ができるのです。したがって、Bは払う必要があります。連帯保証人は支払いを拒否したくても、拒否することはできません。
A (居住用建物の賃貸借の承継) 借地借家法第36条では、居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに 死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。との規定があります。
本件では、被相続人Xには、内縁の妻Zがいますが、相続人ABもいますので、本条を見る限り、相続人からの明渡請求につき、内縁の妻Zは退去しなければならないのかという疑問を生じます。
判例の多くは賃借権の相続性を承認しながら、相続権のない同居家族の居住を保護する法的構成に努力を払っています。 従って、内縁の妻は、被相続人と同居をしていたという事情を考慮して、依然として居住権の存続を認められるべきあり、相続人からの明渡請求に対して、権利の濫用として法律上認められず、拒否できます。
A 在職中に死亡した場合の退職金の受給権については、相続財産なのか、遺族固有の権利なのか、法的性格について大きく2つの見解に分かれます。すなわち、相続財産であれば、民法所定のとおり、基本的には相続人が法定相続分で分割取得することとなり、遺族固有の権利であれば、相続とはかかわりなく、特定の遺族が受給することとなり、他の相続人と分割する必要はありません。 死亡退職金の受給権者の範囲・順位等について法令、労働協約、就業規則等で定められていれば、それに従って第1順位の者に全額支給すればよいのですが、これらの定めがない場合には、死亡退職金受給権は、相続財産として、相続人が法定相続分で分割取得しますので、法定相続分に応じて支払うことで対応すべきでしょう。
生命保険は、保険金受取人が丙に指定されていますが、生命保険金の受取人が特定人に指定されているという場合には、その生命保険金が受取人の固有財産となり、相続財産(遺産)に含まれないことになります。
ただし、近時の最高裁で「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」すなわち遺産分割において考慮されるという判断がなされました(最高裁平成16年10月29日決定)。